先日、小児救急看護認定看護師の方に子どもの病気と怪我の見分け方・受診のタイミング等の話を伺ってきました。
子どもに何かあってからでは遅い!病気や怪我の対応策は知っておいて損はないはず!!と思い参加した講習会。保育士として、また子供をもつ親として再確認でき、とても勉強になったので皆さんにもお伝えしていきたいと思います。
一番大切なのは寝る・遊ぶ・食べる
“いつもと様子が違う”と思ったら受診を考えます。
まずは、何処がどう違うのかを確認しましょう。
見た目
- 好きなおもちゃに興味を示さない
- あやしても無表情で笑わない
- 何をしても機嫌が悪い
- ぐったりしている・反応が乏しい
- 泣き方が弱い・苦しそう
呼吸の仕方
- 呼吸のたびにゼイゼイ音がする
- 肩で呼吸している
- 呼吸のたびに小鼻が大きくなる(開いている)
- 呼吸のたびに胸のあたりがへこむ
- 苦しくて横になれない
- 咳き込んで吐いたり、水分がとれない
全身の色や温度
- 顔色が白い
- 口元の色が悪い
- 手足が異常に冷たく白っぽい
- 顔や手足が紫色
- 冷汗をかいている
では、乳幼児期に多い病気や怪我について一つひとつ見ていきましょう!
発熱の場合
体温に影響を与えるもの
影響を与える因子 | 結果 |
運動・泣くこと | 一時的に上昇する |
日内変動 | 朝方に下がり、夕方に上昇する |
環境(気温、室温、衣類、掛け物) | 状況により体温は上下する |
すぐに受信が必要な時
- 生後3か月未満の38℃以上の発熱
- 活気がなく、ぐったりしている
- おもちゃを見せても反応せず、すぐ眠ってしまう
- 5分以上のけいれんを起こした
- 尿が8時間以上なく、くちびるや皮膚が乾燥している
様子をみていいとき
- 水分、食事(食べられるもの)がとれている
- 眠れている
- あやせば笑う、遊ぼうとする
- 発熱以外の症状がない
- 顔色は悪くない
自宅での対応
- ①環境の調整
手足が冷たいときは、衣類や掛物で暖かくする - 顔が赤くなってきたり、背中にうっすら汗をかいているときは衣類や掛物を減らす
- 身体をタオルで拭いたり軽くシャワーを浴びても良い
嫌がらなければ、おでこ、脇の下、足の付け根あたりを冷やすと良いでしょう。
私の働く園では冷えピタを半分に切って貼っているよ♪
②解熱剤を使うタイミング
使わなくてもいい | 使ったほうがいい |
機嫌が悪く、寝る、遊ぶ、食べるができる | ぐったりしている 水分がとれない 眠れない |
*解熱剤は発熱を0.5℃~1℃程度下げるように処方されています。
36℃台まで下げるものではありません。
③水分をとる
- 母乳やミルクは普段通りでOK
- 水分は好きなもの(ジュース)でOK
- 食事は無理にとらなくてOK
- アイス・ゼリー・ヨーグルトなど食べやすいもの
【消化の良い食べ物】
うどん、おかゆ、すりおろしりんごetc…
【消化の悪いもの】
脂っぽいもの、刺激性のあるものはNG
きのこ、ねぎ、ケーキ、チョコレートetc…
嘔吐・下痢の場合
何を観察すればいい?
- 嘔吐・下痢の回数
- お腹が痛がるか
- 頭痛がありそうか
- 食欲があるか
- 発熱はあるか
すぐに受信が必要なとき
- 嘔吐・下痢が5回以上ある
- 強い頭痛がある
- 強く頭をぶつけた
- 意識がぼんやりしている
- 尿が8時間以上出ない
- 唇や皮膚が乾燥している
様子を見ていいとき
- 嘔吐・下痢が5回未満で、吐いた後はケロッとしている。
- 水分がとれる。
- 熱がない。または、あっても元気がある
- 眠れている
赤ちゃんの嘔吐
- 母乳やミルクを飲んだ直後に吐いて、後は機嫌よくしていれば大丈夫。
赤ちゃんは胃の入り口の筋肉痛が未熟だから吐きやすいんだ。
自宅での対応
- 吐き気が強い時は、吐いた後30分は何も飲ませない
- 飲ませる時は、スプーン1杯を5分間隔で
- 子どもが好きなものを飲ませてOK
- 母乳やミルクは普段の濃度でOK
脱水にならないように水分が大切なんだね。
食事
〇食べて良いもの | ✖控えるもの |
おかゆ、煮込みうどん | ラーメン |
すりおろしたリンゴ | 柑橘類の果物 |
ゼリー | 乳製品 |
塩分のあるもの(味噌汁、スープ) | 油っぽいお菓子 |
消化の良い食べ物を食べましょう!
感染予防
- 石鹸での手洗い
- 吐物やトイレ、おもちゃの消毒
[消毒液の作り方]
用途 | 次亜塩素酸ナトリウム濃度 | 市販の塩素系漂白剤を使用した場合 |
嘔吐物が直接付いた物を消毒する場合 |
0.1% |
500㎖のペットボトル1本の水に原液を10ml |
接触感染の可能性がある物を消毒する場合 |
0.02% | 2ℓのペットボトル1本の水に原液を10ml (ペットボトルのキャップ2杯) |
清潔ケア
【おしりのケア】
- こすらずにつまみとるように拭く
落ちない時はベビーオイルなどを使う - 泡で洗う
*おしり洗浄は1日2回程度まで - 便が直接つかないようにワセリンかベビーオイルを塗る
腹痛の場合
何を観察すればいい?
- 泣き声、顔の表情、姿勢はどうか
- お腹のどこが痛むか
- 最後に便が出たのはいつか
- 痛みに波はあるか
すぐに受診が必要な時
- 30分以上泣いている
- お腹を触ると痛がる
- お腹がパンパンに張っている
- 便に血が混じる
- ぐったりして顔色が悪い
様子を見ていいとき
- 浣腸や便をすると痛みがなくなった
- 寝る・遊ぶ・食べるができている
自宅での対応【便秘かな?と思ったら】
- 「の」の字マッサージ
- 足を動かす運動
- おしりのマッサージ
- 綿棒浣腸
- ミルクの種類を変えてみる
↓
改善しない時には病院を受診する
【麺棒浣腸の使い方】
- 綿棒の白い部分にベビーローション、または、ベビーオイルをたっぷりつけます。
- 赤ちゃんの肛門部に綿棒の白い部分を入れます。
- 綿棒をゆっくり回します。
1センチくらい円をかくように回すと“どばー”っと便が出てくるよ。
けいれんの場合
けいれんの症状
- 白目をむく
- 体ピーン
- 意識不明
- 唇が紫色
- 手足がガクガク
けいれん時の対応方法
- 時間をはかる
- 平らなところに寝かせる
- 横を向かせる
- 衣類を温める
口に物をつめる・激しく体を揺らしてはいけないよ。
すぐに受診が必要な時
- 初めてのけいれん
- けいれんが5分以上つづいた
- けいれんの後も意識がもうろうとしている
- けいれん後に繰り返し嘔吐する
- けいれんが一回落ち着いた後に再びけいれんした
様子を見ていいとき
5分以内にけいれんが一回のみで、けいれん後に呼び掛けに反応したり泣いたりした
↓
通常外来や自家用車での来院でOK
心配な時は救急車を呼んでもいいと消防士さんが言っていたよ。熱性けいれんはまだ体験したことがないから不安です。
耳が痛い場合
中耳炎とは?
耳管(耳と鼻をつなぐ管)経由で中耳が細菌に感染しておこる中耳の炎症です。
中耳炎の症状
- 耳が痛い
- 耳を頻繁に触る
- 耳だれがある
- 聞こえが悪い
- 不機嫌
- 38℃以上の発熱
すぐに受診が必要な時
- 激しい耳痛、38℃以上の発熱、2歳未満、耳だれがある、どれかに当てはまる
- ぐったりしている
- 水分がとれない
- 頭痛、吐き気がある
様子を見ていいとき
- 元気がある
- 寝る、遊ぶ、食べる、ができている
- 以下に該当する耳痛
*発熱*2歳以上*耳だれがない*機嫌がいい
自宅での対応
- 痛み部分冷やしたり、痛み止め(解熱剤)を飲む
- 抗菌薬が処方されたら、決められた日数分を服用する
誤飲・誤食の場合
誤飲・誤嚥が多い年齢はいつ?
7.8ヶ月〜2歳頃までが多いんです。
私もうすぐ6ヶ月。気をつけなくちゃ…
誤飲・誤嚥しやすい食べ物
- ピーナッツ
- 節分豆
- 枝豆
- キャンディ
- おもち
- ぐみ
- だんご
- こんにゃくゼリー
飲み込みやすいもの
- 小銭
- たばこ
- ボタン電池
- 磁石
自宅で対応すること
背部叩打法
気道に異物が入ったとき除去する方法の一つです。頭を体より低くさせ、手のひら全体で背中(肩甲骨と肩甲骨の間)を強く叩きます。1歳未満の子にも行なえます。なお、意識がないとき・異物がとれず意識がなくなったときは、背部叩打法などは行なわず、ただちに心肺蘇生法を始めます。
すぐに受診が必要なとき
- 飲み込んだ直後から咳やヨダレが出始めた
- 医薬品・洗剤・殺虫剤・ボタン電池・磁石(2個以上)を飲み込んだ
- 痙攣が起きた
- 顔色が悪い
- 呼吸がおかしい
- 嘔吐がとまらない
様子を見ていいとき
- タバコをかじった(2分の1未満)
- プラスチック、紙、ビニール、クレヨン、鉛筆の芯、インク、絵の具をかじったりなめたりした
- 硬貨を飲み込んだが、呼吸が苦しそうでない
普段から気をつけておくこと
- 薬や化粧品は引き出しや戸棚に入れる
- できれば禁煙
- キッチンで洗剤やアルコール類を放置しない
- タバコや灰皿を置きっぱなしにしない
ケガの場合
頭を強くぶつけてすぐに受診が必要なとき
- すぐ泣かなかった
- 何回も吐く
- 意識がもうろうとしている
- 5分押さえても血が沢山出ている
- 痙攣を起こしている
- 打撲部分がぶよぶよしている
様子を見ていいとき
直後に嘔吐したがその後は普段通りにしている
*子供は嘔吐しやすいので異常がなくても嘔吐することがある。
1度吐いても元気にしていれば様子を見ても大丈夫。
手足を強くぶつけた、引っ張って受診が必要な時
- 手足が腫れている
- 手足を動かさない
- 変形している
やけどの場合
まずは兎に角冷やす
- 皮膚が黒く焦げていたり、白くなっている。
全身または広範囲→救急車を呼ぶ - 水ぶくれ(水疱)ができている。
範囲がやけどした子供の手のひらより広い→外科・皮膚科のある医療機関を受診する - 範囲が狭く、赤いだけで水ぶくれになっていない→十分に冷やして翌朝、かかりつけ医の先生に診てもらう
様子を見ていいとき
範囲が狭く、水ぶくれができていない
*流水で10分以上冷やす
服を脱がせにくいときは服の上からでも良い
*水ぶくれはつぶさない
小さい水ぶくれには…
- 流水で10分以上冷やす
- 皮膚保護剤で水疱を保護する
日頃から危険なものは高い所や開けにくい所に片づけておくことが大切だね。
まとめ
- 病気やケガのときに寝る・遊ぶ・食べるができているかを把握できるようにしましょう
- 自宅でゆっくり安静を保つことが大切
実際に病気やケガに立ち会ったときに少しでも知識を得ていると処置が素早く慌てずにできると思います。
看護師さんのお話、とても勉強になりました!
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